一時期流行した縦スクロール漫画。最近では縦スクロールに挑戦し始めたアプリも多く見られますが、どうも流行っていません。その理由について色々と調べてみました。
縦スクロール漫画の利点と欠点
縦スクロール漫画の先駆者的なアプリと言えば「comico」です。
comico オリジナル漫画が毎日読めるマンガアプリ コミコ
NHN comico Corporation無料posted withアプリーチ
縦読みスクロール漫画で漫画の新たな可能性を見出そうと頑張っていますが、一部ユーザーのみに好評ですがイマイチ盛り上がりを見せていないようです。
そこで、それぞれの利点をまとめてみました。
縦スクロール漫画の利点
①スマホで読みやすい
縦スクロールの漫画が世に出始めたきっかけは、スマートホンの普及でしょう。
スマホでwebページを読む場合、下にスクロールしていきます。
このサイトももちろん下スクロールで読んでいきますよね。このようにwebでものを読むことに慣れている人にとって、漫画も同じように下に読んでいく方が読みやすいのでしょう。
②読み込み速度
横スクロール漫画の場合は、ページをめくる度に画像を読み込んでいますが、縦スクロールの場合形式によって違うようですが、横スクロール漫画よりも一度に多くのページを読み込むことができるため、スルスルと読み進めることができます。
③新しい表現が生まれる
縦読みにすることで、今までの漫画では生まれなかった新たな表現が生まれています。
例えば、コマを斜めにしたり、非開きを縦で表現したりとまったく新しい漫画表現が可能になるというわけです。
縦スクロール漫画の欠点
ここからは上で紹介した縦スクロール漫画の利点を否定していくことにもなります。
①読みにくい
我々はどうしても単行本で読む漫画に慣れています。そのため、横に読む癖がついているので縦に読む漫画に抵抗のある人が多いです。
更に四コマ漫画程度の短さなら良いでしょう。ですが、長いページの漫画の場合疲れます。
横スクロール漫画の場合はワンタップorワンスワイプで次のページに行けますが、縦スクロール漫画の場合はスワイプし続ける必要があります。ページが長くなると、面倒ではあります。
②単行本化に手間がかかる
横読みの漫画を縦にスクロールする形式ならば問題は無いでしょうが、縦スクロール用に書かれた漫画を単行本にする場合、大幅な作業が生まれるでしょう。
電子書籍の売上しか考えていない!という考えなら縦スクロールに特化しても良いでしょうが、2018年の紙出版市場と電子出版市場の推定販売金額をみると紙出版が1兆2,921億円、電子出版は2,479億円とまだまだ紙出版の方が大きなシェアを占めています。(公益社団法人 全国出版協会・出版科学研究所から出典)
単行本化を捨てることは漫画家のためにならないでしょう。
縦読み漫画は流行らない?
はっきり言って、2019年時点での傾向をみると今後流行る見込みは薄いと思います。
上記で書いたように利点を上回る欠点が多すぎます。
利点②で記入した読み込み速度に関しても5G回線が普及していくにつれ、横スクロールでもストレスを感じにくくになっていくことでしょう。
新しい試みを否定すると先見の明が無い!と言われそうですが、縦読み漫画のピークは2017年~18年頃だと思います。
少年ジャンプが運営するジャンプ+では大手出版社としてはいち早く縦読み漫画を取り入れていました。新人発掘の漫画賞でも 縦スクロール漫画賞 を開催するなど意欲を見せていました。
が!
その開催締切日をみると第1回は2018年7月20日。第2回は2019年1月15日となっており、2019年11月の時点で第3回は開催されていません。
またジャンプ+では横読み漫画と縦読み漫画が同時に連載されていますが、縦読み漫画は軒並みランキング下位です。(スライムライフは面白いんだけどなぁ)
シャンプ+は縦スクロール漫画から手を引き始めているように感じます。
以上の観点から考えても、今後縦スクロール漫画が普及していくことは難しいのではないでしょうか。特に漫画家のことを考えるならば、縦ではなく横で描いてもらった方がいいです。
横読み用に書いた漫画を縦スクロールで読んで行くのは、好みに合わせて変えられる方が良いとは思います。